○研究の背景
動作面の改善を目的とするスプリントトレーニングのバリエーションとして全力と最大下努力度を組み合わせた方法があります.特に,最大下努力度での運動を行うことが素早い動きをするスポーツでは,技術的な改善に対して有効であるといわれています.
これらのことから,この研究では,以下の2つの項目を明らかにすることを目的としています.
1.異なる主観的努力度の違いとパフォーマンスとの関係について
2.1ポイントを踏まえた上で,努力度を変化させたスプリント走の利用方法について
*主観的努力度
陸上競技などのスポーツにおける指導現場では,「全力に対して何%でする」などという感覚的な言葉掛けがあります.これを,「主観的努力度」 と呼んでいます.このような,全力に対しての何%かで表すことができる力加減のことを指します.
○研究の内容
この研究の対象者は,大学男子陸上競技跳躍選手12名でした.5段階の異なる主観的努力度によって,片手のみを地面につけたスリーポイントスタート(スター トブロックなし)を用いた50mスプリント走を対象者に行わせています.指示した努力度は60,70,80,90, 100% の 5段階としました.
○研究の成果
スプリント走の加速局面において,努力度の変化による運動への影響は,スピードと総合的なパフォーマンスよりもピッチ・ストライドや運動のテンポへの影響が大きかったです.スタート直後の走スピードへの立ち上がり方において,頑張ろうとすればするほどピッチが高くなります.一方で,その逆としてはストライドが高くなる傾向がありました.
○練習への活用
このような研究において,非常に面白い考え方を得ることができました.実際に,子どもたちへの指導を行うときに,個別に指導できるときは,これから紹介することを頭に入れて指導をしています.ぜひ,参考にしてみてください!
スプリント走の加速局面において,ピッチが過剰に高い選手に対して,努力度を全力の90%やそれ以上で運動を行わせることでパフォーマンスが改善できる可能性があるということです!このときに大切なのは,90%以下では全力で走るときの動きに適用させることができない可能性が高いということです.
90%よりも低い努力度での運動では,ドリル運動などで利用することが望ましいと述べられています.
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