○結論
400m走のパフォーマンスを向上させるためには,耐乳酸能力の向上を目的としたトレーニングが必要であることが分かりました.そのためには,この研究で用いられたインターバルトレーニングⅠとⅡを3セット以上行う必要がありそうです.400mの選手は,この研究で行われたインターバルトレーニングを参考にしてみてください!
インターバルの内容[(大西ら,1998)らより改変 ]
インターバルの設定タイム(大西ら,1998)らより改変 ]
○研究の背景
この研究が発表されるまでの研究では,陸上短距離選手の血中乳酸値と競技成績との関係を調べたものは,多く行われていました.しかし,血中乳酸値を指標として,競技力の向上を目的とするインターバルトレーニングの強度について検討された研究はありませんでした.これらの背景があった上で,インターバルトレーニングの強度の指標として血中乳酸濃度を用いて,400m走の記録向上につながるインターバルトレーニングの方法について検討することを目的として実験をしています.
※血中乳酸濃度とは?
陸上短距離選手においてのエネルギーを生み出すシステムとしては,ATP-CP系(ATPからエネルギーを生み出すシステム)と乳酸系(乳酸からエネルギーを生み出すシステム)の占める割合が大きいといわれています.その中でも400m走は,短距離走の中でも最も長い距離であることから高いスピード持続能力が必要があります.これらのことから,400m走におけるエネルギーを生み出すシステムとして,乳酸系が非常に重要であると考えられています.
○研究の内容
この研究の対象者は,某体育大学陸上胸部に所属する400mを専門とする男子陸上短距離選手4名です.対象者は,一般的・専門的準備においてインターバルトレーニングⅠを,専門的準備期にインターバルトレーニングⅡを,試合期にインターバルトレーニングⅢの3種類の200mインターバルトレーニングを行いました.頻度としては,週に1回,トレーニング期間は5ヶ月間でした.
インターバルの内容[(大西ら,1998)らより改変 ]
インターバルの設定タイム(大西ら,1998)らより改変 ]
○研究の成果
400m走における耐乳酸能力の向上を目的としたトレーニングとしては,ピーク血中乳酸値が20mmol / L 以上でのトレーニング強度を行うことが重要であると分かりました.本研究でのインターバルトレーニングにおいては,インターバルトレーニングⅠとインターバルトレーニングⅡを3セット以上することで耐乳酸能力が向上すると考えられました.少し難しい話は省きましたが,興味のある方は,以下に参考文献のURLを貼り付けておきますので御覧ください!
陸上競技400m走の記録向上を目的としたインターバルトレーニング内容の検討 大西 崇仁,水野 増彦,中川 一紀,江田 茂行,上田 大,植木 貴頼,黄 仁官,堀居 昭
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