中学生の陸上競技者におけるコントロールテストと競技成績

スプリント科学
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コントロールテスト

コントロールテストとは、主に「トレーニングの管理」、「パフォーマンスの予測」、「タレント発掘」の3つの目的によって実施されています(根本、1988)。取り組んでいる競技に近い形式の種目を実施することで、パフォーマンスの向上に必要な要素を明確にすることができます。

今回紹介する研究は、中学陸上競技者におけるコントロールテストの結果と競技結果に関係があるのかということをテーマにしたものです。

今回の研究論文

今回紹介する研究論文は、「中学陸上競技者におけるコントロールテストと競技成績の関係」といわれるものです。陸上競技研究紀要という論文誌に掲載されているもので、ある程度は現場でも参考にすることができるものであると思います。詳細をご覧になりたい方は、以下のURLから本論文にアクセスできます。
https://www.jaaf.or.jp/about/publish/2015

結論

20mホッピングの歩数と競技記録との間には、男子で11種目、女子では9種目とほぼすべての種目で統計的に関係があることが示されました。

クイックジャンプ前後(地面に書かれたラインを往復で跳び越す)では、男子で5種目、女子で4種目に統計的に関係があることが示されました。

クイックジャンプ左右では、男子で7種目、女子で6種目に統計的に関係があることが示されました。

20mホッピング

ホッピングというのは、片脚での連続跳躍のことです。20mホッピングは、立位姿勢から20mの利き脚での連続跳躍を行い、その歩数を計測したもののです。

計測結果

男子では、20mホッピングと関係があった種目としては、100m、200m、400m、110mH800m、1500m、3000m、走り高跳び、棒高跳び、走り幅跳び、砲丸投げでした。

女子においては、100m、200m、110mH、800m、1500m、走り高跳び、走り幅跳び、砲丸投げ、4種競技でした。

20mホッピングの平均値は、男子9.6歩/女子11歩でした。1番少ない回数で跳んだ人は、男子6.5歩/女子7.5歩でした。

クイックジャンプ

クイックジャンプ前後および左右は、地面に書かれたラインを往復で跳び越すように両脚連続跳躍し、10秒間の計測での回数を測定したそうです。

計測結果

クイックジャンプ前後では、男子が100m、200m、110mH、1500m、走り幅跳び、砲丸投げと関係がありました。女子では、100m、110mH、800m、走り幅跳びと関係がありました。

クイックジャンプ前後の平均値は、男子42.5回/女子42.6回でした。1番多く跳んだ人は、男子72回/女子72回でした。

クイックジャンプ左右では、男子が100m、200m、400m、110mH、1500m、走り幅跳び、砲丸投げと関係がありました。女子では、100m、110mH、800m、1500m、3000m、走り幅跳びと関係がありました。

クイックジャンプ左右の平均値は、男子42.9回/女子41.8回でした。1番多く跳んだ人は、男子70回/女子69回でした。

現場での活かし方

20mホッピングにおいては、陸上競技全般の能力を計測するために、非常に重要なものであると考えられます。走り方の指導と同様に、ホッピングにおける正しい動作を習得し、トレーニングとして取り入れることは、パフォーマンス向上につながる可能性が高いと考えられます。まずは、導入としてケンケンなどから、少しずつ出力を高めるような段階的な指導が求められると思います。

クイックジャンプにおいては、よく雨の日に練習場所が使えない際のトレーニングとして導入しているという話を聞きます。今回の結果から考えてみて、冬期のサーキットトレーニングの1つとして継続的に導入することも視野に入れてみても良いのではないかと考えます。

参考文献

・中学陸上競技者におけるコントロールテストと競技成績の関係.加藤和樹, 繁田進, 東川安雄, 伊藤静夫, 小林敬和, 岩壁達男, 渡部誠, 桜井智野風, 井筒紫乃, 沼澤秀雄, 櫻田淳也, 渡邊将司, 船橋将太, 熊原誠一, 豊田裕浩, 平山公紀, 横山巧機. 陸上競技研究紀要 11 27-31 2016年3月

・C級コーチ教本. 根本勇. 日本体育協会編, 185-204.

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