厚底ランニングシューズを徹底解説
マラソンや長距離選手、いや、陸上関係者ならば、1度は興味を持ったのではないでしょうか??
世界陸上などの国際大会で多くの選手が使用した厚底シューズです。
このシューズが注目され始めたのは、国際大会でこれを履いてる選手が、良い記録を打ち立てたことから注目の的になりました。今回は、これらの厚底シューズがランナーにどのような影響を及ぼすのかについて科学的な根拠を用いて説明していきたいと思います。
紹介する論文
「A Comparison of the Energetic Cost of Running in Marathon Racing Shoes」
この論文は、2017年にWouter Hoogkamer らによって発表されました。この年に、初めてお披露目されたシューズがナイキのズームヴェイパーフライ4%でした。この時期から、各スポーツブランドの”厚底ブーム”が到来したと言っても過言ではないでしょう。その時期に合わせて、国際的にこの厚底シューズの効果について研究しようとした動きが高まりました。今では、ナイキだけでなくニューバランスなどの様々なシューズメーカーが開発競争をしています。
論文の内容
目的
この研究の目的は、新しく開発された厚底のランニングシューズと、これまでのランニングシューズを比較してランニングエネルギーのコストがどのように変化するのかを調査することでした。長距離選手などが、よく聞く言葉にするならば、ランニングエコノミーというものですね。
ランニングエコノミーとは??
これは、ランニングをしているときの経済性を表しているものです。「どれだけ効率よく走れているか」を示す尺度のことです。
実験方法
18人の優秀な選手に、これまで主流であったランニングシューズと厚底ランニングシューズで、それぞれ違う速度で5分間走ってもらい、ランニングエネルギーコストを調査しました。
結果
この研究では、厚底ランニングシューズでは、これまでのランニングシューズと比較してランニングエネルギーコストが、約4%改善されたということがわかりました。
この数字は、数字的に言えば非常に小さくてあまり変わっていないのではないか?と思えるかもしれませんが、そんなことはありません。世界中の研究者もしくは、陸上関係者が研究に取り組もうとするぐらいの大発見でした。
それを裏付けるものとして、この論文を発表したWouter Hoogkamerは、論文の中でこのように述べています。
We predict that with these shoes, top athletes could run substantially faster and achieve the first sub-2-hour marathon.
これを日本語訳すると、
トップアスリートは、かなり速く走ることができ、2時間未満でマラソンを達成できると予測しています.
1度マラソンをしたことがある人ならば、分かると思いますが、フルマラソンで2時間を切るということは、はっきり言って、偉業です。ランニングについて研究している者がここまで言うということは、非常に効率的な効果が得られたということが分かると思います。
注意点
ここで注意して欲しいのですが、この研究では、対象者を優秀なアスリートにしていることです。一般レベルの選手についての厚底シューズの効果については、探していきたいと思います。
まとめ
厚底ランニングシューズは、一流アスリートでは、ランニングエコノミーを向上させ、パフォーマンスを改善するということです。
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