今回紹介するのは,練習の効果を高めるために,絶対に必要な基礎知識です.練習を考えながら速くなろうとする人や,練習を考える立場の方に,ぜひとも読んでいただきたい内容となっています.
○練習の効果を高める原理原則
最近の学生の特徴を見ていると,どのようにして速くなろうかと練習の中で非常に深く考えている選手は多いと感じます.それは,とても良いことで,スポーツを通して最も重要な考えであると思います.実際に武井壮さんも,どうしたら速くなれるのかを考えられるようになることを非常に重視しています.
しかし,練習の内容について考えている人はほとんどいません.これは,指導者がいて自分で練習を考えている人が少ないことも関係しているとは思います.練習の効果を最大限にするためには,”意識”も大切ですが,”内容”も大切だということです.
”練習の内容を考える”ことの重要性は,どのようなスポーツにも共通する原理と原則というものがあります.これは,人の体のシステムから考え出された強くなるためのルールのようなものです.全部で8つありますが,この内容を頭に入れて練習を考え直してみてください!
○3つの原理
原理というのは,トレーニングで体に与える影響の根本的な法則のことです.
オーバーロードの原理
体に一定以上の負荷を与えることで,体の機能が向上するという原理です.このことから,練習の内容は,ずっと同じものではなく,少しずつ変化を加えていかなければ強くなることはできないということです.変化の内容は,負荷を高めるだけではなく,負荷を軽くすることでも異なる負荷がかかるので大切ですね.
特異性の原理
練習で行った内容にだけ効果が現れるという原理です.当たり前のことですが,こちらを意識できていない選手も多くいると感じます.100mが12秒台の選手に特に多く見られることとして,スタブロの練習ばかりで,ロングスプリントをしないことがあります.このような選手は,どうしても100m後半での失速が大きくなってしまいます.バランス良く練習内容を考えていく必要があります!
可逆性の原理
練習の継続は大切であるという原理です.どんなことがあっても継続して練習をしなければ,良い結果にはつながらないということです.試合での結果に一喜一憂することもあるかもしれませんが,どんな時もするべきことをすることは大切です.
○5つの原則
原則というのは,原理をもとにした上で練習をする時の決まりごとのようなものです.
全面性の原則
こちらは,近年,陸上選手でも上手く考えることができている選手が多くなっている原則の一つです.全面性の原則では,バランスよくトレーニングすることが大切であるということです.山縣選手や小池選手のような上半身も非常に発達した選手が出てきたことも影響しているのかなと感じています.陸上選手は,普段から足に負荷をかけている状況ですので,上半身もバランスよく強化していきましょう!
また,有酸素運動,柔軟性なども向上させることが大切です.短距離選手には,有酸素能力は必要ない!と言っている方はまだまだ指導者の中に存在しています.トップアスリートでも有酸素能力が高い選手が多いという研究もあります.有酸素能力が高いことで,インターバル(休息)での回復がはやく,より質の高い練習をすることができることで練習の効果を高めているのではと考えられています.これらのことから,全てをバランス良くトレーニングすることは大切ですね!
個別性の原則
この原則は,個人の特性や能力に合わせた練習をしようというものです.100mが12秒台の選手が100m10秒台で走る選手と同じ練習をしたからといって必ずしも速くなれるわけでありません.近年のSNSの発達でトップ選手の動きを身近に見れることで,あの選手もしているから・・・とやってしまいがちです.基礎的なことを疎かにしては,絶対に速くなることはできません.
意識性の原則
練習をするときに意識の持ち方によって効果が変わりますよという原則です.陸上選手は,意識をするだけで大きく変わる部分が多いです.記録がなかなか伸びない選手は.練習の意識を変えて練習を行っていくことで大きく変化するきっかけになるかもしれませんよ!変化を恐れないことが大切です.
漸進性の原則
少しずつレベルアップすることが大切だという原則です.段階的に練習の内容や意識のポイントを変えていくことが大切です.練習強度を上げたり,休息時間を短くしたり,設定タイムを変えていくことを自分の能力に合わせて少しずつレベルアップしていくことがパフォーマンス向上への近道であるということです.急激に目標を高めても,レベルアップをすることはできません.単にモチベーションを落とすだけですので,絶対にやめましょう!
反復性の原則
練習は継続的に行うことでより大きな効果が得らるという原則です.こちらに関しては,先程も同様のことを言っていますので.ぜひとも覚えておいてください!
これらの原理原則を忘れずに練習に取り組んでいくようにしましょう!
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