筋力を向上させることは,どのようなスポーツ選手でも重要であると考えられます.特に,瞬間的に大きな力を出すような短距離選手や跳躍選手などには必要不可欠な能力です.今回は,競技パフォーマンスを高めるために必要不可欠な筋力向上の要因について,できる限り分かりやすく説明していきたいと思います.
○筋力向上の要因
筋力というのは,筋断面積(筋肉をスパッと切ったときの断面の面積)と絶対筋力のどちらか,もしくは両方が向上することによって増加すると考えられているそうです.この文献では,筋断面積の増大と絶対筋力の増大について書かれていました.その2点について,できる限り分かりやすく解説していきたいと思います!
○筋断面積の増大
筋肉の断面積は,筋肉を構成している筋繊維の数とその断面積の大きさによって決まります.Gonyaらの研究においては,運動の負荷が高いほど筋線維の数が増えやすいことを報告している.しかし,そうではない可能性を示す研究もあることから,基本的には,筋繊維の数を増やすのではなく,筋繊維1本1本を大きくすることを目的に考えることが大切です.また,筋線維はある一定以上の太さよりも太くならないと言われており,それ以上の大きさになる時に線維は分裂すると言われています.このような分裂を起こすためには,筋繊維に瞬間的に大きな力を出させることが大切だということも考えられています.
これらのことから,最大筋力を向上させるためには,瞬間的に大きな力をかけるトレーニングを行うことで,筋線維を太くさせて,分裂させることが大切だということです!
○絶対筋力の増大
筋肉は大きく分けて2つの種類が存在します.それはtypeⅠとtypeⅡと分類されています.馴染みがない言葉で戸惑う人も多いと思いますが,typeⅠは.遅筋といわれる小さな力を持続的に出すことが得意な筋肉の種類です.typeⅡは,速筋といわれる大きな力を短い時間で出すことが得意な筋肉の種類です.これらの特性から考えられることとして,絶対筋力を高めるためには,typeⅡ線維の速筋の比率を高めることが必要であると考えられています.しかし,残念なことに,筋線維の数の割合は,誕生直後より変化しないと考えられています.
これらのことから,速筋線維の断面積を大きくすることで,最大筋力を向上させることができると考えられています.
○まとめ
どのようなスポーツ選手でも,最大筋力を向上させることは競技パフォーマンスを高めるために非常に重要です.そのためにも,爆発的な力を発揮するトレーニングを普段からすることが大切だと考えられます!
○参考文献
Gonyea W : Role of exercise in inducing increase in skeletal muscle fiber number. J. Appi Physiol, Respirat Environ Exercise Physiol 48: 421-426, 1980.
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